通り魔たち 3/春日線香
 







曇り日の竹藪では
伸びてくる竹の子の
頂点が生々しく赤い
そこに火が灯ることがある







花に留まろうか
水溜りに降りようか
宙を迷ううちに蝶は
ぺろりと女の髑髏の口に
飲まれてしまう







何かを囲むようにして
無数の赤い塗箸が地面に突き立ち
その真四角の一角には
草は生えていなかった
雪すら積もることがなかった







空中を飛び交う仏壇が
時々落ちて
地面で粉々になっている
産業道路の朝







経典の文字が書かれた石が
そこで大量に
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