通り魔たち 3/春日線香
 
量に出土した
雨の日などには樹の下に
脳を露出させた僧が立つという







蜘蛛の巣に
折り鶴が数羽
かかって弱っている
風下の暗い場所でのこと







捨ててある冷蔵庫の中に
水が溜まっているようだった
亀かなにかが棲んでいるらしく
夜には水音がする
時々大声で笑う







線路の枕木の間
そこだけいっぱいに
炊きたての白飯が敷き詰められ
よく見ると中央に
梅干しさえ添えてある







あとからあとから墨汁が湧くので
塀は黒々と輝き
周囲の光を吸収するようだった
かつて
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