通り魔たち/春日線香
 
と何かを呟いている







人が飛び降りた後の地面を
馬ほどのタツノオトシゴが
長い舌で舐めにくる
つられて何匹か次々と







雨が降って
捨てられた骨壷が
白い中身を吐き出している
バスターミナル







片隅の井戸は
何度さらっても髪が出るので
長年閉鎖されている
嵐の晩にはその下から
宴会の音が漏れ聞こえる







藤棚の砂場から
這い出てくる子供たち
羽化するための
適当な高さの木を探して
町をさまよい歩く







入道雲になって
歩いてい
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