地底湖/春日線香
 

それが本当なら酷いことだと話がまとまって席を立つ。別室にいる当人に詳しい話を聞こうということになって入っていくと、知らんぷりで後ろを向いている。窓の外が奇妙に明るくなったり暗くなったりを繰り返して少し肌寒い。自分たちが明け方の悪い夢の中にいると全員がとうに知っている。




         * * *




ギャラリーの床は水浸しだった。ところどころに小動物の死骸が転がっていて、聞けば土竜のものだという。近代文学と自我の話をつっかえながらした。出てからどこかで食べて帰ろうと思ったが、なんだか嫌な気分になってやめた。車輪が線路を削るような電車に乗って家に帰る。


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