夕焼けのポケットさん〜コメットさん/AB(なかほど)
を洗っていた娘がいた
両手で水をすくい
端からこぼれ落ちるところから飲んでいく
こんなふうに
僕の書く文章なんて
いつも隙間だらけの言葉足らずで
伝えたい人には伝わらず
愛している人達には気づかれもしないように
それでも
その足りないとこから
夕焼けの空のドアが開いている
と思うんだ
初めから満たされている物を欲しがり
リライアビリティーなんて言葉が
信頼の本当の意味も知らず流行る世の中でも
僕の言葉には隙間
あれ
と
放課後
あの娘のエクボ
照らされ透ける後ろ髪
水飲み場の石鹸のにおい
名前も帰り道も
途中までしか知らなかった
あの空の色が
やが
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)