ファタジェトジュ/後期
 

まるで猿の様でしたよ
と後日、メールで克明に
描写される。しかし
それは、枝ぶりの見事な
枯れ木の素描であり、猿は数匹
押し黙ったまま
今にも折れそうな枝枝に腰をかけ
雨脚が、駆け抜けるのを
じっと耐え忍んでいる
輪郭線の影だった。
その影は、いま見上げている
天井の穴のようでもあった
と後日、メールで
返信をした。
どうりで日が暮れ始めると
君がやたらに僕の部屋に現れては
木炭のような暗さの中に消えて逝く
電灯をつけると
君は僕の目の前にパッといて
すぐに消して、朝日が昇るまで
僕は直立したまま枯れ木のように
左だけで、佇んでいなければならなかった
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