ファタジェトジュ/後期
た
僕はやさしい君の目の中
右があるように直立している
もはや止まり木の僕は
さまざまな生き物の
いっときの安息の時間となり
君の時計の中に音も忘れて
流れながら
同じ事を繰り返す宿命を
機能美として愛でる
職人の眼差しで
うっとりしている。
まるで今
僕が見上げる
天井の穴のように
そっと猿が覗いて
いる穴、血が滴る
一皿の美味でも
あるかのように
グーッと腹がなる
涎がじんわり
溢れてくる
愛と欲望が混ざり合う
淫靡な粘液を
左だけで
嚥下する
その痛みと悦楽
が、ゆっくり
堕ちて逝く
「はしたなかったわ、、」
友達の友達が
翌朝
メールをくれたのだ
天井から外へ出ると
生きた心地がしないくらい
活き活きとした
猿に囲まれ
パッと
光が消えた
もうすっかり
肉つきを取り戻した
ふやけ切ったきみが
南国で覚えた言語で
挨拶してくれる
「ファタジェトジュ」
再生と再会を併せ持った
美しい音の連続だ!
と、ぼくは勝手に
喜び、踊り
左さえも
失ったのだった。
戻る 編 削 Point(1)