キツネと白鳥の子/丘白月
年老いたキツネは考えた
もう獲物を追いかける元気は無い
白鳥の卵を盗んで育てて
大きくなったら食べようと考えた
森の中で白鳥の巣を見つけ
親が留守のときに
一つ持ちだした
あちこち転びながらぶつかりながら
卵だけは落とさず割らず
なんとか自分の家まで持ち帰った
「ふふふ、これがあればもう走る必要は無いし
のんびり待っていればいいね」
キツネは目尻のしわを
爪で伸ばしながら微笑んだ
「さて遊びに行こうかしら」
巣から出てきたキツネに
カラスがやって来て言った
「お前さん白鳥の卵を盗んだね」
「あんた見てたの?うるさいわね」
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