希望と絶望/こたきひろし
 
は手伝ってやれんぞ」と父親はきっぱりと口にした。
「そんなのわかっているよ」と俺は返事した。
「嫁さんの実家が手伝ってくれると言うから、俺は決めたんだよ。父ちゃんは心配しなくて大丈夫だから」
と言ったが、自分の親からはいっさい援助を貰えないのは、想像がついでながらあからさまに言われるとがっかりしたし、冷たい気持ちに襲われた。
と同時に嫁さんの実家に申し訳ない気持ちになってしまった。肩身の狭い気持ちになって付き合わなければならないと覚悟もした。

そんな日から二十四年がたった今。
嫁さんの両親も俺の両親も他界した。
俺の実家は棲む人を失い山間の土地に埋もれる空き家になってしまった。
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