僕たちは風の援軍となる/la_feminite_nue(死に巫女)
 
りだけをあげて、イチョウは去ってゆく。

風は僕たちを残してゆくんだね、きっと。
風は僕たちの悲しみを見ないのさ、きっと。
そして、僕たちの慈しみをきっと見ているんだ。

いつか生まれる命よ、ああ、イチョウの葉。

僕たちが大きく腕を振る時、宇宙は振動して、
それは無限へと向かって波を立たせるのだそうだ。
風はその無限を優しく愛撫してゆく。

ああ、イチョウの葉が散ってゆく。

大人になった僕たちは、悲しみを忘れ、
成長(おお)きくなった僕たちは、優しさを捨て去り、
ただ風の援軍となる。補給部隊のように。

ああ、小さなイチョウの葉に込められた思い。

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