僕たちは風の援軍となる/la_feminite_nue(死に巫女)
 


故郷(ふるさと)の街並みにも屹(た)っていた、僕たちのイチョウの樹。
彼らが奏でる無音の旋律こそが、
僕たちに今そっと頬を寄せ、たぐり寄せる。

ああ、小さなイチョウたちの呼び声が聞こえないか。

僕たちはただ風の援軍として生き続けられる。
そうして神がいるのならば、届いてほしい。
どうかこの風が、嵐にはならないようにと。

ああ、僕たちは風の援軍となる。イチョウの葉はそれを見ずに去ってゆく。
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