さよならは口にしないで/こたきひろし
らなかった。
学校は公共交通が不便な場所にあった。バスが通るには通っていたがそのルートは限定されていたし、便数もけして多くはなかったから、恵まれた生徒しか利用出来なかった。
だから遠方から通学するには女子も男子も自転車かバイクしかなかったのだ
とは言うものの、免許を取れるのは十六からだから一年生は自転車で通うしか方法はなかった。
通学路は大半が山のなかで勾配が多くかなりきついものだったから、二年になると皆がこぞって免許を習得して親にバイクを買って貰った。
滝田君がどういう事故を起こしたかは分からなかったが。即死したのは確かだった。
彼の自宅も周りを田んぼと畑と山に囲まれていた。
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