さよならは口にしないで/こたきひろし
 
感染してしまうのだろう。十代の若年にはそれに逆らって自分を正常に保もてないから、どうしても弱さの方向に傾いてしまうに違いない。
そこに学生たちの低い品質が加味されるのだから、流れが悪い方向に向かうの自然だったんだろう。
勿論それは全体図ではなく、青春に高いこころざしを持ち、自分を見失わずに品行方正を貫く者たちも少なからずいたのは確かだった。

それは、しいて言うなら腐ってしまった蜜柑と腐るまいとする蜜柑のせめぎあいかもしれなかった。

クラスメートの滝田君がバイクで自爆して亡くなったのは二年生になって間もなかった。
果たして滝田君が既に腐ってしまった蜜柑と一緒になっていたかはわからな
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