いとしさ/la_feminite_nue(死に巫女)
 
うことばは異なる世界にあるのだ。
なぜなら、それがわたしを傷つけてしまうから。
あたたかなぬくもりのなかで、いとしさは
むらさき色の桔梗のような花をつける。
はるか古い世界からつらなりあって、
そこに長い時間をかさねられてきたもの。
そのことばがわたしを刺すのではなく、
わたしのなかのすべての棘をぬきさる。
い、は、はげしい葛藤の想い。
と、は、こころの扉をノックする訪問者。
し、は、詩人がかかげようとするはかないことば。
い、は、人知れず咲いた見知らぬ花のかげ。
いとしいということばによって、最後までつらぬかれるもの。
さまざまな声音のなかから、人ではないものによって
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