いとしさ/la_feminite_nue(死に巫女)
 

選ばれたほのかなあわい気もちの集まり。
いとしいということばは、最初のものであり、
最後にたどりつくべきものでもある……
わたしはわたしを忘れるだろう、
あなたがあなたを忘れ、
ひとびとがやがてひとびとのことを忘れるように。
そこに残される、やわらかな影のような光。
誰かが、いとしさということばにたどりつくために、
いくつの階梯をのぼってきたのだろうか、
そしていくつもの世界を下りていったことだろう。
砂のようにすべてが崩れさる、幻の世界のなかで、
れんめんとつむがれていくもの。
その下層として、生きるという条理と不条理とが、
ないまぜになりながら布を織り出している。
わたしはあなたを忘れるだろう。
あなたはわたしを忘れるだろう。
ひとびとはひとびとのことばを忘れるだろう。
さまざまなとりどりの色に装飾される、純粋な花のすべてを。
そのなかに取り残される、無形のかたち……
いとしさという、最初のことばから始まるもの。
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