<詩「あるなんでもない日」、「白き神の抱擁」、「婚礼」、「カフェ」「君の来る日」、「山城合戦」、「冬.../タカンタ、ゴロキ、そしてパウロ
くして夫に先立たれた女性であり、ただ、再婚する気はなく、詩織は慈子様のひ
とり娘だった。慈子様は美しく詩織もまた近いのちに、煌めく貴婦人の美貌を想起させた。二階の廊
下の壁には夫婦の肖像画がかけられており、詩織もまたその隣に掲げられるのだろうかと、あたしは
思った。図書館には多くの本があり、慈子様はあたしに好きなだけ読むことを勧めた。その書物の言
葉は、あたしに知性と教養を与えてくれるだろう。
詩織は奥行きがあり木目のはっきりした板の張られた壁が気持ちのいい部屋に暮らしていた。子ど
もには少し大きすぎるかもしれない机と、革のソファに木のベッド、高価なアンティークの家具があ
った。窓
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