<詩「あるなんでもない日」、「白き神の抱擁」、「婚礼」、「カフェ」「君の来る日」、「山城合戦」、「冬.../タカンタ、ゴロキ、そしてパウロ
 
から玄関にかけては青緑
色に切れ切れに白い稜線のある敷石が並べられていて、その上を柔らかい陽光が斑な縞模様を注いで
いた。そして、今。館に到着したその日から美しい苔むした飛び石の流れを踏みしめることになるの
であり、その光の反射があたしに強い目眩を感じさせた。

 館の近くには公園があり、あたしは、その公園の砂場と遊具の側を歩くたびに今ではなく過去を生
きているような気がするのだった。それが何故なのかはわからないわ。あたしを包むものは北国の静
寂から海の風に変わった。あたしは海を見るのは初めてだった。その崖に打ち寄せる荒波があたしを
寂寥に導いていく。

 あたしの養親は若くし
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