<詩「あるなんでもない日」、「白き神の抱擁」、「婚礼」、「カフェ」「君の来る日」、「山城合戦」、「冬.../タカンタ、ゴロキ、そしてパウロ
座りこんでいた。あたしは母親を探
しているであろう幼な児の顔を見て思わず胸に手をあてて微笑みをおさえようとした。
そして幸せな時間は掌に落ちた雪のように流れていったわ。
スケート場を出る時に幸恵さんがあたしたちの前に腰をおろして言った。「わたしは、あなたたち
が幸せになることを約束するわ、わたしを信じてね」あたしたちは彼女の言葉にうなずいた。
帰りの車の中で、あたしたちは、ずっと黙りこんでいた。街を出る時に時計台が見え、その大きな
黒い時計の針は確実に時間を進めていた。雪は止み、車の窓から見える風景は寂しい静寂をあたしに
感じさせた。幸恵さんの顔は少し蒼白く厳しい表
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