ミルクより白いものも、ユリよりも白いものも僕は知らない/竜門勇気
 
う変えたか
世界が季節をどう迎えたか
知りたくて散歩にでかけた

御婦人は少し生き生きと
少し悲しそうに言った

猫がね、一匹
庭で座っていたの
私、いつもはしないんだけど
少しだけミルクをお皿に入れて
そのこの前に差し出したの
そしたらね、飲んだのよ

そうですかと言って
僕は二言ほど季節の話をした
そして背中を向けた

それからも僕は
くたびれはてていた
部屋に戻ると世界は閉じた
それが心地よかったし
それは癒やしだと信じてもいた
しばらく経ってそれにようやく飽きた頃
また散歩にでかけた

足取りは軽かった
ユリの咲く庭を通りかかった

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