ミルクより白いものも、ユリよりも白いものも僕は知らない/竜門勇気
無限に訪れる
心配事の種は
球根と違って
どんな場所にも入り込んで
ある日姿をあらわす
ある日
散歩の途中で
出会った庭には
テッポウユリが咲いていた
その数は
非現実的なほどで
この夏の盛りに
春の雪が
残っているのかと
思ったほどだった
ある日
散歩の途中で
出会った人が
その庭の人だった
なにせ、私ももう年だから
庭の手入れも全部はできなくて。
でも、なくなった主人が
すきだった白い百合は切らずにおいてあるの。
また違う日
僕はくたびれはて、自信を失い
そしてくたびれはてていた
それでもなんだか
季節が世界をどう変
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