詩四編「あるひとによせて」、「木」、「春」、「新鮮なあなた」/ビショプ
きの中で
訪れていた儚い遠くないころを
かつて、わたしは川をこえ、草原を歩き
あなたと愛の囁きをかわした
今、この場所で思い出のそよ風をわたしは聴いている
遠い国で海の風の匂いを身につけたあなたを抱きしめよう
すると、細くて長い指を持つあなたの白い手が
わたしの喉に触れるだろう
その欲望とともに
長い冬が終わり木立のなかで春の声が鳴いているのだから
「新鮮なあなた」
またひとつ時が落ちて消えてゆく形象と記憶
白鳩の時代の女性
公園の噴水の上を見上げれば真青な空が
そして白い鳥の群れとオレンジの薫りをはらむ南風
いうにいわれぬあなたの新鮮
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