神話の夏/ビショプ
美しい肢体で木立ちと川の岸辺を歩く女神を
わたしは憧れの眼で見つめていると
薔薇の静脈はうっすらと剥がれ
ほんのりとあなたはうなじを朱に染めたのだ
わたしはあなたにすべてを捧げようとしたけれども
優しいあなたは美しい貝殻を鏤めた
雪のような手でわたしを抑えた
あなたは、まだわたしを愛してはいけないわ
わたしは紺碧の空に苦しみ
あなたの眼を見つめることを
死ぬまであなたを愛しますと
まさに朝の一時に誓う権利を溜息の谺に添え
与えてくれるよう神に願った
めくるめく時の流れは過ぎてゆき
あなたの露わな肩から山鳩の群れは飛び立ち
ある春の日、強欲な族長に迫られ
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