神話の夏/ビショプ
 
られ閃く光のなかに姿を消したあなたに
わたしはすすり泣いていた

行き過ぎる微風にあなたはもういない

あなたは幸福は言わずもがな悲しみだけを残していった

神よ、なぜ
海を越えてわたしを運び、あなたのもとにそっと下ろしてくださらぬのか

蒼色の時代が永遠に去ってしまっても、いまもなおあなたの麗しい夢は浮かび
思い出を呼び覚ますまでもない

青い水晶の上で輝いていたあなたを求めてわたしは森に向かった

水草の川をわたり森を抜けると木の葉が舞い狂い
緑の風がさらってゆく光のなか深くに小さな御影石があり
そこには誰が手向けたものか一本の野ばらと野生ヒヤシンスが供えてあった
わたしはあなたのそばにすわると水仙の花をあなたの白い手の前に捧げ
青と緑の服を着て軽やかに歩いていた今は透明な光に包まれているあなたへ
決して消えることのない想いに耽った
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