世にも不思議じゃない出来事/こたきひろし
 
の住人だった。
五十代位の女の人だった。
「お休み中の所すみませんが、お伺いしたい事あるんですがよろしいでしょうか?」
と訊いてきた。
「はい、なんですか?」
彼は何事かと怪訝な顔つきで返事した。
すると相手は思いがけない言葉を言ってきた。
「実は私の娘の洗濯して干してあった下着がなくなっていまして、もしかしたら心当たりお持ちではないかと思いまして?」
「はい?、どういう意味でしょうか?」
彼は驚きと同時に憤りを俄に感じた。
「もしかして、俺が盗んだとでも言いたいんですか!?」

隣の部屋は母親と若い娘の二人で暮らしていた。
彼はその二人と付き合いはなかった。とは言え、三
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