杉谷家にて/コタロー
 
になるの
であり、その光の反射があたしに強い目眩を感じさせた。

 館の近くには公園があり、あたしは、その公園の砂場と遊具の側を歩くたびに今ではなく過去を生
きているような気がするのだった。それが何故なのかはわからないわ。あたしを包むものは北国の静
寂から海の風に変わった。あたしは海を見るのは初めてだった。その崖に打ち寄せる荒波があたしを
寂寥に導いていく。

 あたしの養親は若くして夫に先立たれた女性であり、ただ、再婚する気はなく、詩織は慈子様のひ
とり娘だった。慈子様は美しく詩織もまた近いのちに、煌めく貴婦人の美貌を想起させた。二階の廊
下の壁には夫婦の肖像画がかけられてお
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