響き/パウロ
ビロードのようだった
きみを見ていると折りたたんでしまいたくなったものだ
仔馬の脚を折りたたむように抱きしめて、それから
ぼくたちはいつまでも幸せに暮らすだろう
幸せ、なんという響き、なんという変幻自在の輝き
愛しているよ、きみの心臓も肝臓も、腎臓も、その眼球も、すべてを
気持ちの悪いことを言わないで
春にきみは奇妙なほどに生気を失いぼうっとしてしまった
そして話すときもほとんど口を開かなかった
どうしたんだい、ぼくが訊ねると
べつになんでもないの
きみは眼を細め名状しがたい表情を浮かべてぼくを見た
夜になるときみは死んだも同然だった
そんな状態が一ヶ月以上、
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