響き/パウロ
裂に撃ち始めた
ぼくたちが別れたのは二年前、別の町でのこと
ぼくは眼を上げることもできず
過去の強襲とざわめきから身を守ろうとした
きみの視線は敵意のこもった、嘲るような、それとも好奇なものなのか
なんと昔のことだろうか
テニスクラブのベランダで、蒸し暑くて失神しそうな晩
ぼくはきみにぞっこん惚れ込んで夢中になってしまった
その一ヶ月後、結婚式の夜にはしのつく雨が潮騒をかき消していた
なんて幸せなんだろう
幸せという言葉、ひとりで微笑み、ひとりで泣く言葉だ
翌朝には、庭の木の葉が輝き、海の音はほとんど聞こえなかった
銀色のミルクのような海の音は
きみは全身ビロ
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