You Can't Always Get What You Want/ホロウ・シカエルボク
に住んでいる
首尾はどうだい、と
テールライトに語り掛ける
返事を期待しないときは無駄に饒舌になれるものだ
水溜りを轢き潰しながら
真っ赤なふたつの目が二つ先の交差点を左折していく
大儀そうにウィンカーを点滅させながら
おれは様々なすれ違いのすべての残像を
その僅かな灯りに重ねながら少しの間見送り続けていた
風が強くなり始めて
もはや軒先では凌ぎ切れない
立ち上がって
どこかのビルの駐車場にでも逃げ込んだほうがきっといいのだろうけど
おれはまだ回想を抜け出すことが出来ず
いつかしら雨に取り巻かれてしまった
まるで
眠りの最中に死んでしまう浮浪者のように
た
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