君よ、空は明るい/ホロウ・シカエルボク
 

女は問いかけた
6の開放弦みたいな声だった
どうしてなんて、と俺は答えた
「理由などない、自然とそうなる、光に虫が吸い寄せられるように」
女は悲しそうな顔をした
「あなたは幸せのなりかたを知らないんだわ」
「認めざるを得ない」
「幸せになりたいとは思わない?幸せが羨ましくはない?」
「幸せは無自覚な人間だけが持っている」と、俺は答えた―こいつは誰だ?
「幸せでないことが俺の幸せなのさ」
あなたみたいな人はたくさん居る、と女は困ったように笑った
「みんな幸せであることを愚かだというふうに考える」
「それは良くないことだろうか?」
女は首を横に振る「いけなくはない」
「で
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