君よ、空は明るい/ホロウ・シカエルボク
 
間を掛けて冷たくする
真夜中に
それがすっかり鉄になる頃に
静かになったホームで微かに泣声が聞こえる


夏はどうしても
水辺から上がれなくなる人たちがいます
空中をヘリが飛んでいると
ああ、またかと思うようになりました
君よ、空は明るい


適当に餌をばら撒いては
寄ってきた野良犬や野良猫を
酷い拷問で殺していた若者が逮捕された
ドラッグのせいで
どぶのような目をしたそいつは
留置場で突然もの凄い悲鳴をあげて死んだとか
考えられないことだが
身体には無数の噛み傷があって
職員たちは静かに祈るしか術がなかったとか


暗渠の真ん中あたりでふやけている
[次のページ]
戻る   Point(3)