君よ、空は明るい/ホロウ・シカエルボク
 

不在の在り方が
飲み込めない小骨のように引っかかったまま


ソリストが踊っている
廃墟ビルの屋上で
懐かしい誰かの生首を抱えて
リズムは性急で
だけどあどけなくて
だからこそ惨酷なのだ
君よ、空は明るい


電車は遅れました
駅員たちは努めて無表情に
車両の下に散らばったものを集めていきます
鉄ばさみで、どうしようもないものは
完璧な規則を思わせる白い手袋で
スマートフォンのシャッターが
群衆のあちらこちらで
聞こえる、聞こえる、聞こえる…鳴り続ける
それは彼らにとってはきっとチャンスなのだ
線路は初めての鉄のように濡れながら
その温度を時間を
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