次郎狸/北村 守通
 
んじゃろうなぁ」

そうして与一郎も眠りについた。


それから
どのくらい経っただろうか?
ぐっすりと眠っていたはずの娘がむっくと起き上がると。その体はどんどん伸びてゆき、やがては天井にまで届かんばかりとなった。口はぱっくりと耳元まで裂け、愛らしかった目はみるみる吊り上がり怪しい光を放つようになっていた。そして開いた口から長い舌を伸ばすとそれが動くたびにシュルシュルと怪しい音をたてた。
 異様な気配を感じ取ったか、与一郎はなんとはなしに目が覚めた。そのとき与一郎が目にしたのは。大蛇のような化け物と化した娘がくわっと大きく口を開けて今にも自分にとびかからんとする姿であった。
「ひ
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