次郎狸/北村 守通
 


「怖がることはない。さ・・・」

与一郎は狸を怖がらせないようにやさしくそっと抱きかかえた。与一郎の気持ちが伝わったのか、狸はすっかり安心した様子で与一郎の腕におさまった。
家に連れ帰られた狸は、慣れない場所に最初はぶるぶると震えていたが、しだいに打ち解けていき、怪我が治る頃には一人と一匹はすっかり仲良くなっていた。

そういったわけで、山に戻してやってからもこの狸はたびたび与一郎の家に遊びにくるようになった。与一郎にとって、さびしい山の中のくらしで初めてできた友達だった。いつしか与一郎は毎晩必ず狸のために晩飯を用意してやるようになっていた。そして今日一日の出来事、楽しかったことや
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