Happy Birthday/塔野夏子
 
贈り物は
その白い箱の中に入っている
あけてごらん
極上の 純粋な 忘却だよ

       *

かえりたい
どこへ
わからない でもたぶん それは遠い処
ただひたすらになびく せつないなつかしさ
いつからか心に流れる かすかな歌
かえりたい
どこへ
わからない それはもう かえれない処なのかも
しれない それでも せつないなつかしさが
ひたすらに たなびきやまないから

       *

薄紫の結界の中で
壊れてしまった玩具の天使を眠らせる
ひしゃげた光を放つ
灰色の月が視ている

       *

絵を喪失した額縁たちが
ただ何も云
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