水源地/ただのみきや
虫ピンのように脳天を貫いていたし
永遠の視座からの眼差しに絶えず焼かれていたが
落っこちるように登り
羽ばたいては転げ落ち
答を決しても心は揺れるいつまでも
白木の箱の不眠
天秤皿の上の暮らし
――あっちの皿には何がある
女と蛇がむつみ合う叢の中の一軒家
オニユリを添えて
ああ大きなマイマイが踵の下で砕けた
硬くも脆い感触は
そのままわたしの頑なさと脆弱さ
濡れ落葉の上に広がる内臓よ
吐露したものはすぐに異物と化して
カンバスの奥に埋もれている
原初の形が恋を真似
記憶より深い所から
景色の口を開かせる
寡黙な合わせ鏡
光はゆっくりとただゆっくり
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