路地裏の病院/中原 那由多
 

中の
怪物が
ず、
ず、
ず、

唸りを上げて
赤銅色の雨が降る
それがバケツに溜まっては
やがて溢れて海となり
昼が終わりに近づいた
昼が終わりに近づいた

営み逆様真っしぐらの
その海に
カプチーノ

あるかのような
白波達は
寄せては返す求愛行動
遠目、霞んだ眼の向こう
風呂場の壁の大理石
化石のような大理石

(破裂音)

バスタブのシンクロナイズドスイミング
不都合溶けて、嗚呼溶けて
今朝の懺悔を上書き保存
息継ぎは真空管が焼けたような
不条理流れ、もう流れ
身体を零が駆け巡る

(深呼吸)

ダールマさんが転ん
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