路地裏の病院/中原 那由多
 
転んだように
麻痺した景色
壊れた時計
風は
いよいよ
生ぬるく
愛想笑いも
ほどほどに
目と目を合わせる
こともないまま
ガラス扉を
ギィッと引いて
後ずさり
後ずさり
後ずさり

次が
二度となければいい

薄いスリッパ脱ぎ捨てて
逃げ出すように走り去る

次が
あったらどうするべきか

もしものために振り返る


路地裏の病院

そんなものは
どこをどう探しても
見つかることはあり得なかった
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