寂れた町には/こたきひろし
かった頃
商店街は繁盛し
食堂の看板娘は若くて可愛くて客商売が上手だった
両親の経営する食堂の一人娘で
評判の料理に加え彼女目当てに来る客で
連日忙しかった
だが その内に
年頃の看板娘に男の虫がついた
厨房で働いていた若い男で
最初は両親共に反対した
特に母親の方が気に入らなかった
娘に男がいては男の客足が遠退きはしないかと心配したからだ
それも身近にいては客は敏感に反応するだろうと
勝手な思惑で反対した
母親は若い男をクビにした
父親はさすがにそれには反対したが
嫁の勢いに逆らえなかった
娘は無理矢理好きな男と引き離されたが
母親には従順だったから
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