すいそう/田中修子
さんのものになった。
白いハトになったのは最初の遺体だけだった。
あとは魚になったり、貝になったり、海藻や、珊瑚や……あらゆる種類の海の生き物になった。
あるいは花になり、まるで自らの死をみずからの変身で弔うように、淡い色の海の上へ、遠く漂っていった。重なる水平線の揺らぎの向こうへ遠ざかっていくその白い花を、わたしはずうっと目で追った。死があらたな生に変換され、あらたな生を惜しげもなくまき散らしながらすすんでいくガラスの方舟に、閉ざされている、わたし。
死んでしまえれば、どこかへ、ゆけるのに。
水葬を繰り返しながら、幾度も幾度も、わたしはわたしのつがいを横目で見た。彼は
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