すいそう/田中修子
 
ガラスの箱舟に閉ざされてしまったわたしら。
 ここにはあらゆる動物や植物が、つがいでいる。
 ビルディングのような高い高い箱舟で、あらゆるものが閉じながら循環できる構造になっている。
 わたしは動物の世話という生きる目標を与えられている。もう何年になるか。
 きちんと整備された動物の部屋だ。きっとコンピュータ先生なら、餌から糞尿まで自動的にきれいになるように方舟を設計出来たろうに、わたしの仕事のためにわざと自動化されていないところが残されている。いつもの糞尿と藁の湿ったにおい。
 
 このところ、異変があった。ふしぎな黴の増殖だ。
 放っておくと緑色の黴にびっちりと覆われていく。その
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