近親憎悪/こたきひろし
 
代だった。冬場は何とかなったか、夏場は食品が直ぐに悪くなってしまった。
それでもかまわず食った記憶がたしかに残っている。

俺は典型的なおばあちゃん子だった。
先天的に左の足が不良品だったみたいで、三歳位まで立って歩かなかったらしい。だから畳の上や床の間を這って移動しながらいつもすが婆さんの後ばかり追いかける子供だったようだ。
俺にはその記憶はなかったんだが。
貧乏はおそろしい。
そんな子供がいても父親も母親も一度も医者にみせる事はなかったので、俺は未だに左足を引きずって歩く。
幸い、三歳を過ぎた辺りから俺は立って歩き出したからだった。

貧乏はおそろしい。俺はその暗い運命を未
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