その時刻のことはどうしても思い出せない/ホロウ・シカエルボク
 
込ませて遊びながら歩いた、腕時計を見るとまだ目覚めて一時間も経っていなかった、しまったな、と思った、まだ開いている店さえほとんどない時間だった、そうして太陽はすでに俺のシャツに汗を滲ませていた、大人しくドラッグストアに入り買物をすませた、駐車場で軽い接触事故があったらしい、若い女と年老いた建築作業員が揉めていた、少しの間遠巻きに眺めたがどちらが悪いのかまるで判らなかった、そもそも接触事故が起きるような狭い駐車場ではなかった、こんなところで接触事故を起こすなんて特殊能力の持主でもない限り無理だと思っていた、でも現実にそれは起こっていて、当事者の二人の頭の程度は論争を聴く限り同じようなものだった、車の
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