その時刻のことはどうしても思い出せない/ホロウ・シカエルボク
テムに関しての不満だの怒りだのがあるわけじゃない、ただそれが自分に関係のあることだとは思えない、それだけのことなのだ…散歩をしているといろいろとくだらないことを考える…けれど、演劇部があったのはよかった、部活はそこそこ熱心にやっていた、舞台は見られたもんじゃなかったけれど、役を演じるのは楽しかった、そういや、まとまった文章を初めて書いたのは自分でやり始めた芝居の脚本だったか、そんなこと滅多に思い出さなくなったな―アニメのキャラクターを豪快にパクった立看板のある散髪屋の前を通り過ぎて、市営の広いグラウンドに出た、長雨のせいで下はぬかるんでいる、俺は雪に足跡をつけて遊ぶ子供のように、そこに靴をめり込ま
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