本能と理性の境界のあいまいな場所から/ホロウ・シカエルボク
 
う、だけど俺はそれをそうと知ることはない、そんなことを突き詰めることからはもう十年も前から遠く離れてしまった、理由など知らぬままあればいい、それを知ったところで、あるいは確かに言葉に出来たところで人生にどんな違いが現れるわけでもない、俺は知らないでいる、近付こうとしながら、知らないでいる、遮二無二連ねながら…それは朧げに脳髄の奥底で静かに蠢いている、それはきっと細胞の核のようなものなのだ、目には見えないところにいて、なにかしらの作用を及ぼしている、そういうものが確かにそこにあるのだと知ってさえいれば、それ以上なにを知る必要もない、そうだね、少しでも知っていれば、短い日記に書くネタぐらいにはなるかも
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