本能と理性の境界のあいまいな場所から/ホロウ・シカエルボク
かもしれないけれど…簡単に作ることの出来るものには興味が無い、簡単に語るだけのものには興味はないんだ、そこには確かに誤解など生まれ得ないかもしれないが、といってそれ以上の理解が存在するわけでもない、どんな障害が生じるとしても俺はわけの分からない確かなものについて話続けたい、思考は一本の歪な糸となって脳味噌から這い出てくる、そいつが内壁をこすりながら出て行く音はちょっと他では考えられないような官能的な代物だ、崩れた螺旋はさらに崩れたり膨らんだり収縮したりを繰り返しながら、俺の身体を擦り抜けてどこか新しいところへ出向いて行こうとしている、ああいうものはいつだって無限にうろついている、もしも死の床であいつを見かけたら、俺はきっと死神が来たって勘違いするだろうな―囁くものたち、貫こうという意思を持って―俺の第三の目を真っ直ぐに狙うといいさ。
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