クチナシと蜘蛛/田中修子
土にもみ殻を植え込み混ぜて手入れさえすれば
毎年顔をのぞかせてくれるようになった
ペパーミントとレモングラスを手に取って
やかんにいれてわかして飲むと ハーブ・ティの出来上がり
いえこれはたんじゅんなお茶ではありません
きらめく蜘蛛の巣を髪飾りにした魔女が淹れた稀代の味がいたします。
息苦しく眠りづらい夜がずうっと続くわ よくない夢をみるの だから
ちょっとついでだし
ユングがいう原型を探しに行くわ 詩という白魔術をおこないますのに
おのれとのたたかい 御守りは
知恵の象徴、蜘蛛さんは簪 そして たくさんの空想を入れた銀の籠の髪飾り
暗闇の深層を数瞬 照らし出す
老
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