ケモノの夜/ホロウ・シカエルボク
くなった…選択肢をたくさん用意する考え方は心を育てるには申し分ないけれどもこんな時にはまるで役に立たないな―あれがなんなのかすらわからないのに、ここでこんなことをあれこれと考えているなんてまったく無意味なことだ、俺はそれ以上考えることを止めることにした、目を閉じて両手を広げ、そいつが俺の身体に到着するまで待ってみようと考えた、そのうえでなにかしらの考えが頭に浮かぶのなら、それを実行してみればいい、もしもこれが原因で死んでしまうのなら、それはそれまでということだ…俺はすべてを投げ出して状況に身を任せた、目を閉じたときに気付いたのだが、この世界にはまったく音がなかった、ただただこちらに近付いて来る強烈
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