ケモノの夜/ホロウ・シカエルボク
 
かじめプログラムされたことであるようにそんなことしか出来なかった、なので俺は逃げる事はとうに諦めてこの訳の判らないものがじりじりと近付いて来るのをただただ眺めているのみなのだった―これは夢なのだろうか、と俺は思った、あるいは静かに静かに俺の身体を蝕んできた狂気かとうとう俺の意識ととってかわるときが来たのかと、それともそんなことの一切を飛び越えて人生の終わりが俺の首根っこを掴みに来たのかと―もちろんそこに突っ立ってあれこれと考えてみたところでこの状況がなんなのかなどと理解出来るはずもなかった、情報が少な過ぎる、と俺は考えた、視覚的に、聴覚的に、感覚的にこの身に飛び込んでくるものが、ここにはあまりにも
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