雪〜バイノーラルならば雪/黒田康之
吹雪が吹き上げてきます
私は一人でお茶を飲んでいます
木々に掛かる雪は枝に絡み、ミニチュアの樹氷のようになっています
ホテルの明かりは白熱灯でぼんやりとテレビを照らしています
僕はその中をリフトに乗り、降りるあてのない坂を登ってゆきます
書類を開いて、書き込めるところは書き込んでおこうと思います
頂上に着くと足下にあるはずの小屋はなくすべてが白に包まれています
一人でいるのはつらいのでついついテレビをつけてしまいます
僕はどこへ降りてゆけばいいのかわからないまま
ホテルの部屋は狭くて窮屈な文字しかかけません
最初の一歩を蹴りだします
シャワーを浴びることにしました
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