饒舌なハレーションの朝/ホロウ・シカエルボク
 
ままでとは違う感じで笑った、「苦労したんですよ、これ」ここに置いていくのかい、と俺は聞いた、うん、と女は頷いた「ちょっとしたいたずらです、こういうの喜ぶ友達がいるんで」なるほど、と俺は言った、それから俺は彼女のスマホで記念写真を撮ってやった、彼女は子供みたいにはしゃいでいた、そうこうしているうちに列車の時間が近付いていたので、俺は彼女にそう告げた、電車に乗るかどうか、決めました?と彼女は聞いた、今日はもういいな、と俺は答えた、「この廃屋で今日は十分だよ」そうですか、と彼女は少しがっかりしたように俯いた、「一緒にどこかに行くのもいいかなって思ったんですけど」一人旅派なんだ、と俺は、いままで何人もに言
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